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航空豆知識
第2回 飛行機はなぜ迷子にならないのか?

A 飛行機の窓から外を眺めると、眼下に見渡すかぎり真っ白な雲や、月と星だけが輝く闇が広がっていることがあります。そんな中、飛行機は徐々に目的地へと近づき、お客様を旅先へとご案内します。眼下の風景は真っ白、もしくは真っ暗なのに、なぜ飛行機は目的地が分かるのでしょうか?
  飛行機は自由に大空を飛んでいると思われがちですが、実は空には「航空路(エアーウェイ)」と呼ばれる飛行機専用の道路が網の目のようにはりめぐらされています。飛行機はこの“空の道路”を使って目的地に向かっているのです。「ジェプソンチャート」という航空路図の中には、航空路の名称や目的地(方向)、また道路の途中にある地上無線局の種類や周波数が記されています。地上無線局のひとつが工事中だったりすると、その道路はしばらく“通行止め”になることもあります。
 それでは飛行機は、どのようにして地図上の自分の位置を知るのでしょうか?
まず、飛行機は地図上の2ヵ所の地上無線施設を選んで、その地点までの方位、もしくは距離から現在位置を知ります。かつては機長、副操縦士、航空機関士の3名のほかに航空士、無線通信士といった人が乗務していた時代もありました。その頃は、海図を使いながら、飛行機の速度、眼下の地形や夜空の星などによって飛んでいる場所を計算し、通信士が無線で地上と連絡を取りながら大空を飛んでいたのです。

  現在では、その仕事はコンピュータが行っています。飛行機が動くことによって生じる加速度(飛行機が滑走路を走り始めるときに座席にググッと体が押さえつけられる力)を検知して、飛行機の速度や移動した距離を計算する「慣性航法装置」、ジェプソンチャートの情報をデータベース化して、飛行ルートを入力すると、現在位置、予想到着時間、もっとも燃費が良くなる速度など、飛行に関するあらゆる情報を提供してくれる「フライト・マネジメント・コンピュータ」といった、まさに”ハイテク機”の名にふさわしい機器が搭載されています。
 そんなにコンピュータに任せっきりで大丈夫?と思われるかもしれませんが、コンピュータは二重、三重の装備でお互いの計算をチェックしています。それに何といっても、パイロットがコンピュータが正常に動いていることを常に確認していますから、どうぞ安心して窓の外の風景をお楽しみください。
文=日本航空 一等航空整備士
日本航空機内誌・JALカード会員誌「Agora」連載「航空豆知識」1998年5月号より転載

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