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コックピット日記
No.03 機長流、時差ぼけ克服方とは?

 海外旅行とは切り離せない「時差ぼけ」を、どのように克服していらっしゃいますか?

 仕事柄、飛行機で世界中に飛んでいるためでしょうが、「機長だから時差に慣れているだろう。時差ぼけを治す、何か特別な方法はあるの」と、よく尋ねられます。しかし、答えはズバリ「なし!」。

 われわれ運航乗務員も、時差ぼけにはみんな苦労しています。私の場合、現地時間に合わせて行動するようにしていますが、その他よく聞く克服法を挙げてみると、できるだけ日光を浴びる、運動して汗を流す、国や地域に関係なく日本時間で生活する、自然に任せて眠いときに寝る……など、いずれも特別なものはなく、人それぞれ努力しているのが現状です。

 私の場合、現在は米州路線を中心にフライトしています。日本との時差はマイナス14〜18時間。行きは10時間前後の夜間飛行、帰りは日の沈まない中を10時間以上飛行するというのが、一番多いパターンとなります。そのため、時差の上に乗務による疲労が加わり、体調管理にはいつも気を使っています。

 そんな職業病ともいえる時差ぼけですが、飛行中に集中力を維持しなくてはならないわれわれにとって、窓から見える景色がその克服に結構、役立っています。

 例えば、夜間飛行時に出合うオーロラ。ニューヨーク線などの場合、オーロラツアーでも有名なカナダのイエローナイフという町のあたり(北緯62度付近)を飛行するため、特に寒い時期にはよく見ることができます。この辺りのオーロラは、それと気付かないような白い霧のように立ちこめることもあれば、カーテン状に大きく揺れ動くこともあり、見るたび、あるいは数分ごとに形状が異なるので、なかなか幻想的な雰囲気で、良い気分転換になります。

 また、星空もとてもきれいに見えますが、長い尾を引く彗星の姿や、流星を発見できたときは、目が覚める思いです。以前、地球に接近したヘールボップ彗星の美しさは、今でも鮮明に覚えています。

 日中のフライトでしたが、昨年、種子島からH2Aロケットが打ち上げられたとき、ちょうど鹿児島付近を飛行していて、上空に向かっていくロケットの姿をくっきりと見ることができました。

 皆さん、飛行中時差ぼけで眠れないときは、窓から景色を楽しむのもなかなか良いものですよ。それでは引き続き「空の旅」をお楽しみください。
文=工藤英樹(JALグループB747-400機長)
Text by Hideki Kudo

日本航空機内誌・JALカード会員誌「Agora」連載 「コックピット日記」2003年6月号より転載

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